おとーりが最高のノミニケーションツールとなる日

おとーりとは、一言で言えば、
酒の回し飲み」のこと。

おとーりは、「宮古島」独特の酒を飲むときの慣習である
というように、理解している方も多いと思いますが、
実はもともとは沖縄全域にあった文化なんです。

しかし、「おとーり」と聞くと、
参加するのを怖がる人も多いですよね。

強制的に飲酒させられるという恐怖があるからです。

また、宮古の人は酒が強い人が多いという
イメージがありますから、さらにビビるわけです。


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おとーりの一般的な方法

おとーりの一般的な流れとしては、

  1. まず「親」と呼ばれる人がグラスに酒を注ぎ、
    口上を述べた後、酒を飲み干します。
  2. 親は同じグラスに酒を注ぎ直し、
    そのグラスを場の一人一人に順序よく、
    まわしていきます。
  3. 場にいる全員に酒が回ったら、親は
    最後に酒がまわった方に酒を注いでもらいます。
  4. 親はそのグラスをもって、集まったメンバーに
    感謝の言葉を述べるとともに、次の親を指名し酒を飲み干します。

 

…と、このような一連の流れを延々と続けるというのが、
現在のおとーりの一般的な流れです。

とくに酒の弱いかたは、
恐怖を感じてしまうに違いありません。

延々と一気飲みをするわけですから。

宮古の人は人前でのスピーチが上手!

おとーりをはじめる際の
一番初めの親の前口上は、その集まりの趣旨にあった
内容を述べることが好ましいと思いますが、
その後の口上については、内容はなんでもいいんです。
(できればユーモアを交えて)

親が口上を述べているさいには、
静かな態度で聞くことがマナーです。

スピーチがそれほど得意でない人でも、
温かい場の中なら、話しやすいですよね。

宮古島の人たちが、みなさん人前でのスピーチが上手である
理由は、ひとつにこの「おとーり」という場で鍛えられている
ということもあるんじゃないかなと思います。

本当に素人?
なんて思うような、ユーモアあふれる
スピーチに感心しますから。ほんとに!

やっぱりどんなことでも、
場数を踏むということが、
上達の近道なんでしょうね。

オトーリ専用の酒が売られている?

おとーりは基本的に泡盛を回します。

おとーりを始める際には、泡盛の水割りを
ピッチャーなどに先に割って作っておいて、
すぐに回せるように準備します。

ひとつのグラスで回すので、その度に
作っていては時間がかかりますから。

 

宮古では、オトーリ専用に水割された
一升瓶も販売されていて人気があります。

先に割っておいた泡盛水割って、
「おいしい?」なんて思う人もいるかもしれません。

しかし焼酎というものは、先に水割にしておいて、
時間をおくと「おいしくなる」んですよ。

この方法は「割水」と呼ばれますが、
水割にしたものを寝かすことによって、
焼酎と水がとろりと混じり合い、
驚くほどまろやかな味になるのです。

泡盛も一緒で、水割を寝かせた
「おとーり用の泡盛一升瓶」も
うまいんですよ!!

おとーりによる過剰飲酒の問題点

おとーりが、始まった時期や起源など
については諸説があります。

しかし、もともとは儀式的なものでした。

神に奉納したお供え物の神酒を、
長老のあいさつに続いて、参加者
全員に振る舞う祭事の一環としての
儀式だったわけです。

貴重で少量だった酒を、平等に回すために、
このようなスタイルになったのでしょう。

まわす回数も一度、または数度
だけだったらしいですね。

 

現在では、酒がいくらでも手に入りますから、
いつの頃からか、今のような永延と回す
大量飲酒のスタイルになってきたわけです。

そのような「おとーり」が増えるにしたがって、

酒の過剰摂取によって、病気を患ったり、
暴言や暴力を振るってしまったり、
飲酒運転による交通事故などが増えました。


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オトーリ禁止令発令

そんなおとーりですが実は、
おとーり禁止令」が発令されたこともあるのです。

宮古の上野村議会は、昭和58年第一回臨時会において、
「オトーリ廃止に関する決議」を承認しました。

住民の飲み方に対して、
このような決議がされるのは、
かなり珍しいことだと思います。

あれから30年。
おとーりは一向になくなりません。(笑)

 
それどころか、

オトーリ廃止条例が可決されたのを祝って、
議員がオトーリしたという笑い話もあります。

「おとーりは、やめましょう」
というスローガンが出れば、
「おとーり、早めましょう」
と都合よく口実にしたという話も聞きます。

また、「おとーり」が駄目なのならば、
名称を変えようということで、
様々な名称が考えられました。

結構それらが秀逸なので一例を挙げると…

  • 健康の泉
  • コミュニケーションドリンク
  • 健康飲料水
  • 活力の源
  • 心をつなぐ潤滑油
  • 夜の人工衛星
  • 友情の翼

(夜の人工衛星や友情の翼なんて、
まったく意味がわかりません。)

しかし結局、現在も呼び名は「おとーり」
でとおっているんですけどね(笑)

また平良市では、「おとーり憲法」なるものを作っています。

オトーリ憲法
前文
オトーリは、元来「神酒」である。
先人の文化に畏敬の念を込め「心と体の健康」「親睦」を目的とし 宮古を愛する全ての人が守るものとする。

オトーリは

一条 酒は地元泡盛とすべし
二条 既定の器を使用すべし
三条 「口上」は、一分以内に爽やかに行うべし
四条 基本的に一人一回を原則とすべし
五条 強要せず節度をもって守るべし
六条 空腹でのおトーリは避けるべし
七条 一日飲んだら休肝日を三日連続持つべし

 
お酒が好きな人には、七条がなかなか
実現するのは難しいかもしれませんね。

三条の「口上」は、
一分以内に爽やかに行うべし

というのも、笑えます。

どんだけ、スピーチが好き
な人が多いんでしょうかね(笑)

 

ですが、そのような取り組みの甲斐もあって、
現在では節度ある「おとーり」も増えてきました。

酒を無理強いせずに、グラスに注ぐ量も、
本人の意向を確かめてから注ぐことが多くなりました。

目指すは「大人のおとーり」ですね。

これが普通になれば、「おとーり」に拒絶反応
を起こす人も減るでしょう。

オトーリというツール

若い人の飲み会、特に学生なんかの集まりだと、
一気飲みをするグループなんてのも多いですね?

店を吐しゃ物だらけにしている
飲み会を見たこともあります。

そんな飲み方をするくらいなら、
私は断然「おとーり」の方がいいと思います。

ま、一気飲みという点では一緒なんですけども、
「大人のおとーり」をすれば、ということです。
 

普通の宴会など飲みの場では、参加者は
それぞれ三々五々に群れてグループを作りますね。

しかしその点、おとーりでは、参加者全員が「親」となってスピーチし、
場にいるメンバーは、親しく耳を傾けるため
場が1つになりまとまりやすいということが言えると思います。

また、おとーりでの口上では、

夢と希望に満ち溢れ、幸せを願い、感謝の心を表し、
自らのやる気を奮い立たせるようなポジティブ
内容のものが多く話されます。

そのような場にいれば、自然と和やかになり、
夢や希望がかなえられそうな元気を共有できるでしょう。

スピーチ力を磨くことにもなります。

集まりの意味を高めることもできるわけですから、
若い有志の集まりには、「おとーり」式飲酒作法を
取り入れるのも面白いんじゃないかなと思いますよ。

 
「有志」には、
「同じ目的や目標で一緒に物事を行おうとする気持ちを持つ人々」
という意味があります。

また、「志」には
「相手を思いやる気持ち」の意味もあります。

相手の様子を観察し、あるいは要望を聞くなどすれば、
無茶な飲み方をさせることもないでしょう。

そして何より、目標に対しての
一体感を作ることが可能だと思います。

相手を思いやる「大人のおとーり」を目指せば、
これは最高な「飲みニケーション 」
のツールになるに違いありません。


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