那覇市識名の、民家が立ち並ぶ場所に、
ひっそりと佇む沖縄そば屋がある。
名前は「てんtoてん(てんとてん)」。
民家を改造した店舗は、一面を植物に覆われている。
知らなかったら、飲食店だとは、思わないだろう。
中に入ると、まるでギャラリーかのよう。
そば屋というよりは、落ち着いたcafeって感じ。
玄関の隣には、ピアノも置かれているので、
もしかすると、リサイタル的なこともやっているのかもしれない。
実は、この店舗兼用住宅は、あの佐敷町のシュガーホールを設計した、
建築家「真喜志好一」設計によるものだそうだ。
まあ、これだけの情報でも、何となくわかると思うが、
この「てんtoてん」は、センスのいい女性がオーナーである。
だから、細かなところも、女性らしい心配りがあったりして、
居心地がいいのだ。
場所がわかりにくいということや、道が狭くて坂にあるために、
駐車場への駐車が難しい場合があるが、観光客も多い。
写真では、席が空いているが、すぐ直後には満席になった。
平日で、雨もちょっと降っていたが、さすがに人気店である。2階や地下1階にも席がある。
例えば、水だ。
従業員が注文を受けに来るさいに、出される水は、
ハーブ水…もちろん、あの危険なヤツではない。
サレオツなほうである。
他にも、テーブルにひかれた
手づくりのランチョンマットや、器、
お土産用に売られている藍染など…
色んな細かいところに、オーナーの、
センスを感じることが出来る。
きっと「手づくり」「オーガニック」、
などといったキーワードに、ぴんとくる方には、
特に女性には、一発で気に入られる店だろう。
そして、そんな店で出される、沖縄そばもまた、
なんとも洗練されたものなのだ。
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てんtoてんのそばの麺について
ここの沖縄そばの麺は、
名前が「木灰(もっかい・もくはい)そば」なだけに、
木灰を使って作られる。
木灰とは、その字のとおり、
木の灰のことである。
薪で火を焚いたあとに残る、木の灰を、
水に入れて、沈殿するのを待ち、その上澄み液を、
「つなぎ」として使うのだ。
そして、伝統的な沖縄そばの麺を作る際には、
この「木灰液」が、使われていたのだ。
現在では、ガスや電気の普及によって、薪を使うことも少なくなり、
いい木灰を得にくくなったため、手打ち麺を作る際には、
一般的に「かん水」が使われることが多くなっている。
だからこそ、「木灰そば」は、昔ながらの作り方だよ!
と、アピールするところが多いのだ。
しかし、実は「木灰液」を使ったところで、
伝統的な沖縄そばの麺の作り方だとは、言えないのである。
その点については、詳しくはこちらから。
⇒沖縄そばの麺の違いはどこから?
この「てんtoてん」の麺も、生めんタイプの提供方法だ。
平麺の縮れ麺で、モチモチトゥルントゥルンしている。
てんtoてんでは、生めんタイプの提供方法が取られている。
つまり、注文が入ってから、麺を茹でるのである。
そうすると、かん水を使っていようが、
木灰を使っていようが、食感の上では、
ラーメンのような感じになる。
ただ、てんtoてんの麺は、不思議なことに、
麺の表面がとぅるんとしている。
これはなんだろうな、と思っていたら、
麺を練るときの、打ち粉として、
「タピオカ粉」を使っているそうなので、
それが、この特徴的なとぅるんとした食感になっているんだろう。
てんtoてんのそばのダシについて
カツオとアグー豚のダシでとった、澄んだダシは、
非常にあっさりしている。
一口目、正直うまいとは思わない。
「あふぁい」のだ。
※あふぁい:薄い
ダシのうまさが、がつんとこない。
しかし、食べ終わるころには、
ちょうどいい感じになるような、
そんな、そばダシである。
全て食べ終わって、
「あ~、うまいなぁ」
と、思うのである。
しかし、正直、物足りない人もいるだろうと思う。
特に、化学調味料に慣れた人には、そうだろう。
てんとてんでは、だし汁は豚2種類の骨と赤肉(ロース)、
鶏がら、かつおを別々に取って、合わせている。
味付けは、塩と、薄口しょうゆ。
きちっと材料を計り、塩分濃度計を使用しているので、
安定した味で、そばを提供することができるのだ。
丁寧にダシを取った後、さらに濾して使うので、
あのように透き通った、そばダシになるのである。
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豚肉
上にのっている豚肉。
これが、うまいなぁ。
超柔らかく焚いてあって、
時間と手間をかけられていることが、わかる。
三枚肉ではなく、赤肉。
ロースの部分だ。
この肉を炊いた汁も、ダシとして使われる。
だから、油の多い個所を炊いて、ダシを取る店と比べると、
そば全体を通して、油っぽさは、少なくなるわけだ。
このあたりもやはり、女性好みだろう。
手打ち麺、ダシ、肉、
全てが、手間と時間をかけて、
丁寧な仕事をされていることを感じる。
しかしこれが、沖縄そばかというと、違う。
いや、沖縄そばに違いはないのだが、
オーソドックな沖縄そばではない。
てんtoてんの木灰そばは、
昔ながらの作り方を取り入れながらも、
洗練された、独自のそばに仕上がっているのだ。
てんtoてんの女性オーナーである、
真喜志三千子さんの手仕事の様子がわかる、
素晴らしい映像がありました。
こういうのを、見て食べると、
また全然違った味わいになるんだろうなぁ。
ぜひ、食べに行く前に、
この映像をご覧になってください。
てんtoてんデーター
TEL
098-853-1060
住所
沖縄県那覇市識名4-5-2
交通手段
識名園から徒歩約8分(600m)
バス:三重城-新川営業所間2番・3番にて「識名」下車、徒歩数分
(注) 2番・新川営業所発の識名トンネル経由は「識名」バス停には止まりません
営業時間
11:30~15:00 (L.O)
定休日
月曜日(日曜営業)
メニュー
木灰すば ¥650
古代米のおにぎり ¥160
ぶくぶく―茶 ¥540
あまがし ¥380
※ちなみに古代米は、西表島産。
特製肉みそがついてます。
コーヒー ¥380
紅茶 ¥380
オレンジジュース ¥380
ビール ¥540
≪セット≫ ¥1100
木灰すば
古代米おにぎり
コーヒー
or
あまがし
ぶくぶく―茶
茶うけとして、橘餅(きっぱん)がついてくる。
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