沖縄の旧暦の8月15日(十五夜)は、ジューグヤとか、ジューグヤウイミ(折目)、
チチウガミ(月拝み)などと言い、五穀豊穣や子孫繁栄を感謝し祈願する日。
「十五夜」といっても、内地のように中秋の名月を眺めて、
酒杯を酌み交わすという、「月見」とはちょっと違うのだ。
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ふちゃぎとは?
ふちゃぎ(吹上餅)は、沖縄で食される菓子の一種で、
餅粉をこねて蒸したものに、茹でた小豆をまぶしつけたもの。
※「ふちゃぎむーちー」とも。むーちー=餅
旧暦の8月15日に、豊作や厄除などを祈願して、
ヒヌカン(火の神)や仏壇(トートーメー)、
神棚に供えた後に食べる縁起物なのだ。
なんじゃこりゃ!って見た目でしょ?
しかも、小豆がはがれて食べにくいんだ。
ふちゃぎは、ごく薄い塩味をつけて炊いた小豆を、
これまた甘を入れない、餅にまぶして作るため、
ほとんど味がしません。
(私は、意外と好き。…といか、あれば食べる。)
ハッキリ言うと、
若い世代には、ウケは良くありません。
見た目もアレですし、
味も物足りないんでしょうね。
そのため最近では、餅や小豆に甘さを入れたり、
中に餡が入っていたりと、既製品のふちゃぎは、
現代の人の味覚に合わせたものが、増えてきている。
でも、もともとが甘くないので、甘が入っているものは、
「甘ふちゃぎ」という名で売られている
餅の色も、黒糖の黒、プレーンの白、月桃の緑、
紅イモの紫など、色もカラフルになってきた。
甘ふちゃぎ。甘が入っていると、小豆の色や艶でもわかる。
ふちゃぎは、漢字で書くと「吹上餅」となるが、
その名の通り、蒸気の吹きあがった蒸器で蒸して作る餅だ。
小豆には魔除けの力があるといわれ、
つぶすと、その力が失われるということで、
小豆を丸ごと餅にまぶしているのだ。
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ふちゃぎを食べるようになった由来
ふちゃぎを食べるようになった由来となる、
似たような話が、いくつか残っている。
登場人物や、細かな設定が違ったりするものの、
だいたいの内容は、共通している。
ふちゃぎのいわれとして、全然違う話も、
存在するのだが、今回紹介する話を私は、推す。
何故ふちゃぎの見た目が、ああなのかということが、
腑に落ちる(?)話だと思うからだ。
墓の近くを通った人が、肩をつかまれたので、
びっくりして引っ張ると、出てきたのは、
行方不明になって、死んだと思われていた人間だった。
話を聞けば、マジムンに惑わされ、
気がついたら、墓の中に入れられていたと。
※マジムン:魔物・悪霊
その人の家では、ちょうど四十九日の準備が行われていて、
葬儀のための、餅や餅菓子を作っているところだった。
死んだと思っていた人間が、
帰ってきたもんだから、
みんな驚き、そして喜んだ。
葬儀のために準備していた餅に、
急遽小豆をつけて、生還を祝った…
というような、内容のものです。
なるほど!
突然のことで慌てていたから、ふちゃぎは、
あのような乱暴にも思える見た目になったのだ!!
決して、うちなーんちゅの大雑把な性格が、
ああさせたわけじゃないのである!!
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