沖縄では、桜が1月から咲くんです!
ただし、沖縄に咲く桜は「緋寒桜(ヒカンザクラ)」。
別種の彼岸桜と間違われたりするので、
最近では寒緋桜(カンヒザクラ)と呼ばれることも多いです。
寒緋桜は、本土のソメイヨシノとは違って、
「寒くなると咲く桜」なんです。
ですから、桜前線とは関係ありません。
北上していくソメイヨシノの
桜前線と違い、沖縄の桜は北から
咲き始め、南下していきます。
また、同じ山なら、
気温の低い山の上のほうから
順に咲いていきます。
沖縄は温かいから、1月から桜が咲く
というわけではないんですね。
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沖縄緋寒桜の名所
寒緋桜は、庭や街路、公園に植栽されています。
緋寒桜の名所としては、名護市の「名護城跡」、
本部町の八重岳があげられます。
沖縄本島の北部、本部町にある八重岳では、
毎年1月中旬ごろから2月の初旬にかけて、
桜祭りが開催されます。
標高453mの八重岳の山道沿いには、数千もの緋寒桜があり、
元旦にはすでに、濃いピンクのつぼみをつけています。
道路の両端に植えられた緋寒桜は、
まるで桜のトンネルのよう。
ソメイヨシノは、ひらひらと花びらが散りますが、
緋寒桜は、花ごとぼとっと落ちます。
(散り際の風情はありませんね笑)
またソメイヨシノは薄いピンクの花びらですが、
寒緋桜は濃いピンクの花びらです。
緋寒桜とリュウキュウメジロ
また、寒緋桜は、花が
下向きに咲くのも特徴です。
ソメイヨシノとは、
また違った美しさがあります。
しかし、緋寒桜は美しいだけではないのです。
おいしいサクランボがなるんですよ。
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ソメイヨシノのサクランボを見かけない理由
桜に実がなるのを、見たことが
ないと言う人も多いようです。
ソメイヨシノにも、
実(サクランボ)はなります。
しかし、あまり見かけませんね。
…というのは、サクラが
同一の遺伝子同士では実がならないという
性質を持っているからなんです。
この性質を「自家不和合性」と言います。
実は日本全国にあるソメイヨシノは、
全てがクローンなんですね。
どういうことかというと、各地に広がる
ソメイヨシノは、接ぎ木で増殖させているからなんです。
つまり、日本全国のソメイヨシノは、どれも同じ
遺伝子を持っているということなんです。
青森県弘前公園にある日本最古のソメイヨシノも、
東京のソメイヨシノも、すべて遺伝子が一緒。
全てのソメイヨシノは、
最初の1本のクローンなんですね。
「自家不和合性」をもつソメイヨシノは、
同じ木の花は、すべて遺伝子が
同じなので、当然受粉しません。
隣にソメイヨシノがあったとしても、
全て同じ遺伝子なので、受粉しません。
受粉しなければ実はできませんね?
実ができないということは、
種ができないというわけです。
…ということで、接ぎ木や挿し木でなければ、
ソメイヨシノのを増やすことができないわけなんです。
だって、種がないんですから。
もちろん、ソメイヨシノと違う別種、
例えば、近くにオオシマザクラなどがあれば、
受粉して実をつけることもあります。
しかし、その種が発芽したとしても、
それはあくまでソメイヨシノとは、
別種なわけです。
純粋なソメイヨシノは、人の手を介さないと、
残ることのできない品種。
ソメイヨシノは永遠に、
クローンのままなんです。
なんだか、ちょっと
さみしい話でもありますね。
さて、ソメイヨシノは近くに別種の桜が
なければ受粉しません。
そのために、さくらんぼが
なることも、少ないわけです。
またソメイヨシノのさくらんぼは、
食べてもあまりおいしくないそうです。
実も大きくなりませんしね。
ちなみに一般的に食べられている
サクランボは、西洋実桜という、
また別の種類の桜にできるサクラの実です。
寒緋桜のサクランボは美味しい!?
実は、緋寒桜のさくらんぼは、
食べてもおいしいんですよ。
黒っぽく熟したら、
食べごろです。
2月下旬~3月初旬くらいですね。
その頃には、地元の人たちが、
袋いっぱいにサクランボを、
集めていたりします。
ただ、緋寒桜のサクランボは鳥も大好きなようで、
実が熟すころには、食べられていたりします。
緋寒桜のサクランボをついばむアオバト
画像元:http://blog.goo.ne.jp/assistyanagi
ですから、桜祭りが催されるような、
緋寒桜がたくさん植えられているような
ところでなければ量はとれません。
しかも緋寒桜の実は、小指の頭くらいの
大きさですし、種が大きくて実は少ないんですよね。
普通に食べられているサクランボとは違い、
緋寒桜のサクランボは、少し細長い形をしています。
1つつまんでほおばると、果汁が口に広がって、
甘酸っぱい桜の香りがします。
まだ青いときには苦くて、
渋くてとても食べられません。
赤くなっても、超酸っぱいだけ。
実が赤黒く熟れると、少し甘みが
出てきて食べられます。
山桜らしく、
野性味あふれていて、
ちょっと大人の味。
木によっても、味が違う。
不思議です。
黒紫に熟れているサクランボを
見つけたら、食べてみてね。
緋寒桜のサクランボは熟してから食べるべしっ!!
緋寒桜のさくらんぼは、熟すると
普通に食べることができます。
ただ、販売されているサクランボと
比較してしまうと駄目。
そのまま食べるのなら、
甘いサクランボを食べなれている
日本人には、ちょっと酸っぱいかも。
でも、ちゃんと甘くておいしいんですよ。
熟していればね!
真っ赤なサクランボに
見慣れているから、
緋寒桜の真っ赤な実を食べて
「酸っぱいだけでまずっ!」
とか言う人いるけど、
緋寒桜のサクランボは、
もっと黒紫色になって、
熟していなきゃ駄目なんです。
寒緋桜は生で食べるより…
緋寒桜のサクランボの利用方法として、
お勧めなのは、サクランボ酒や
サクランボのシロップを作ることです。
ちょっと、酸っぱめなサクランボを、
サクランボ酒やシロップにすることで、
大人の味に仕上がります。
また、このサクランボ酒やジュースは、
昔から夏バテにも良いと言われているので、
ちょうど飲み頃になるころに、ぴったりなのです。
サクランボは、中国でも、疲労回復や
消化を助ける漢方薬として利用されてきました。
ヨーロッパでも、サクランボをリキュールに漬け、
ケーキに加えたり、砂糖と煮てジャムとして
保存食にしたりして食されています。
また、サクランボだけでなく、
緋寒桜の花や葉も他の桜と同様に、
塩漬けにして食べることができます。
塩漬けにした花の、余分な塩を洗い流し、
熱湯を注げば、桜茶としても楽しめますよ。
それでは、緋寒桜のさくらんぼを使った
ジャムやお酒の簡単な作り方をご紹介しましょう。
さくらんぼジャムの作り方
さくらんぼを洗って、
ヘタと種を取り除きます。
(この作業が面倒くさいですが笑)
実の重量の半分くらいの
砂糖とともに、とろみがつくまで
弱火でじっくり煮るだけです。
あとは、煮沸乾燥させておいた
ビンに詰めて保存します。
ジャムをヨーグルトにかけて食べるのが
個人的なおすすめです。
サクランボ酒の作り方
サクランボを洗い、
水けをきります。
サクランボと同量の氷砂糖と、
倍程度の泡盛(リキュール類でも)とともに、
清潔な保存容器に入れます。
1ヶ月後くらいから飲めますが、
初夏あたりが、おいしいかもしれません。
氷または水、あるいは炭酸水などを
入れて、おいしく頂けますよ!
サクランボで沖縄の暑い夏を乗り越えよう!
サクランボには、ビタミンCやカリウム、鉄分といった
各種のビタミンやミネラルに加え、ケラシアニンといった
ファイトケミカルが含まれています。
「ファイトケミカル」とは、抗酸化力、免疫力のアップなど、
健康維持や改善に役立つと期待されている成分です。
なかでも注目したいのは、抗酸化力。
酸化=老化
ともいえるので、酸化を防ぐ抗酸化力は、
私たちの身体を若々しく維持する力として、
注目を集めています。
ケラシアニンは、赤色の色素、赤ワインでお馴染みの
ポリフェノールのフラボノイド系アントシアニン類に属し、
抗酸化物質を多く含みます。
ケラシアニンはシミやしわの予防する働きがあると言われ、
また、動脈硬化の予防にも効果が期待されているんですよ。
沖縄の人でも、緋寒桜のさくらんぼが
食べられることを知らない人も多いんですよね。
もったいない話です。
おいしいサクランボ酒やサクランボジャムを仕込んで、
沖縄の暑い夏を乗り越える力をもらいましょう。
早く飲みたいのを我慢して、
夏の到来に備えてくださいね。
飲んじゃうと、たぶん
夏まで残らないから(笑)
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