東南アジアの国々など、暑い国というのは、
辛い食べ物を、好んで食べているイメージがある。
しかし、食材や風土の似ているはずの沖縄には、
不思議なことに辛い料理がない。
ゴーヤーやンジャナ(苦菜)などを使った、
苦い料理はあるけれども、
不思議と辛い料理は、無いのだ。
「コーレーグース」沖縄の唐辛子
しかし、「コーレーグース」という、
激辛な香辛料は存在する。(コーレーグスとも)
コーレーグースとは、島唐辛子と呼ばれる、
沖縄の激辛唐辛子のことだ。
島唐辛子は、キダチトウガラシという唐辛子の別名で、
鷹の爪の1.5~2倍程度の辛さがある。
鷹の爪に比べると、小振りなのだが、
その辛さは大変なもの。
間違って、島唐辛子に触れた指で、
顔に触ったりすると、途端に腫れ上がるほど強烈!
私が小学生の頃、悪いことをした先輩が
親に罰として、ちんちんに島唐辛子をつけられて、
叫ぶように泣いていた姿が忘れられない。
考えるだけで身の毛がよだつ、罰である。
今から考えると、「虐待」でしかないが。
島唐辛子は、育つにつれて、
青⇒黄色⇒だいだい⇒赤と、
色が変化していく。
一般的には、赤色になってから、
収穫することが多いが、
青いうちからも使うことが出来る。
不思議なことに、青い島唐辛子は、
赤い島唐辛子よりも、ずっと辛いという人もいるし、
全然辛くないという人もいる。
育て方や、育てている年月、
種によって、その辛味も違ってくるようだ。
青いやつは、よく刺身を食べるときに、
醤油を入れた皿の中で、島唐辛子を潰しながら、
食べたりするが、これがまたうまい!
島唐辛子は、生であれば冷蔵庫に入れておけば、
1週間程度はもつし、乾燥させてもいいし冷凍保存も効く。
「コーレーグース」沖縄の激辛香辛料
ちょっと、ややこしいのだが、
島唐辛子のことを、「コーレーグース」と言うと書いたが、
その島唐辛子を、泡盛につけたものも、
また「コーレーグース」と呼ばれ、
沖縄では、なくてはならない調味料として利用されている。
コーレーグースは、主に、沖縄そばの卓上調味料として、
ほとんどの食堂や沖縄そば屋には、常備されている。
沖縄そばには欠かせない3点セット!
コーレーグース、紅ショウガ、七味唐辛子!
使用量に注意!
この「コーレーグース」の辛さは、半端ないので、
何も考えず、どぼどぼと入れてしまったら、
とても食べられないものになってしまうので、注意が必要だ。
また、「泡盛」なので、当然のことながら、
使いすぎると、酒気帯び運転になってしまう可能性もある。
(ただし、酒気帯びになるほど入れたら、
すでに、沖縄そばの味ではなくなっているのだが…)
コーレーグースは、
一振りで味や香りが激変するほど、
インパクトの強い調味料なのである。
はじめは、そば本来のダシの味を楽しみ、そして、
コーレーグースを入れて、味を変えて楽しむ。
私は、沖縄そばは、コーレーグースを入れて、
はじめて完成されるとさえ、思っている。
コーレーグースの作り方
このコーレーグースだが、既製品も販売されているが、
作り方はいたって簡単。
島唐辛子をよく洗い、ヘタを取ったら、
しっかり乾燥させ、後は瓶に泡盛と島唐辛子を入れるだけ。
泡盛に島唐辛子をつけておくだけなので、
自家製コーレーグースを作っている人も多い。
生の島唐辛子でも、乾燥でも、
冷凍したやつでも、泡盛に入れるだけだ。
ただ、生の島唐辛子であれば、(ヘタを取って)
2日ほど天日に干してから入れると、
生のものを入れるより、香りや旨味が濃縮されて、
なおいいということも聞く。
基本的に、泡盛は何でもいい。
アルコール度数の高いもののほうが、
いいという人もいるが、30度のものでも問題ない。
個人的には、泡盛の3合瓶につけると、
インテリアとしても、かわいいと思っている。
最低2週間くらいは、置いた方がいいだろう。
泡盛にうっすらと色がついてくる。
それとは逆に、漬ければ漬けるほど、
島唐辛子の色は抜けていく。
完全に島唐辛子が白くなったら、島唐辛子のほうは、
辛味が抜けて、泡盛に辛味が移っているということだ。
使っているうちに、
コーレーグースの量が減ってきたら、
泡盛を継ぎ足していけばいい。
その際に、辛さをみながら、
島唐辛子も足していく。
その際、いつも使っているものならば問題ないが、
島唐辛子によって、辛さが違ったりするので、
少しづつ足すほうが賢明かもしれない。
なお、時間が経ったものほど、
まろやかになっていく。
出来上がったコーレーグスは、
沖縄そばの薬味以外にも、チャンプルーや、
刺身やカレー、汁物など何にでも利用できる。
料理研究家のケンタローも、
はまった激辛調味料だ。
泡盛が苦手ならば、あえて勧めないが、
ぜひ、トライしてほしい調味料である。